メアリー・ルー・ベアボーンはなぜ魔法の存在を確信していたのか

前置き

映画「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」において、登場人物の1人であるメアリー・ルー・ベアボーンは新セーレム救世軍または新生セーレム慈善協会 (New Salem Philanthropic Society, or Second Salemers) のリーダーである。彼女は、魔女 (魔法族) が人間社会から隠れて存在していることと、その存在の危険性を訴え、戦うよう宣伝している。この映画の中では、ニューヨークで見られる奇怪な破壊現象を例として挙げている。

映画の中でも紹介される設定として、MACUSAの管轄する範囲では、

  • 非魔法族 (北アメリカ大陸の魔法族社会においては、ノー・マジNo-Majと呼称される) とは友人関係も結婚も違法である (ラパポート法)
  • ハリー・ポッター・シリーズにおける英国魔法社会と同様に、魔法の存在を知ってしまった非魔法族の記憶をオブリビエイトなどで消去する必要があり (国際魔法機密保持法、作中ではStatute of Secrecy、国内法ではセクション3-Aで規定?)、これを怠るのは違法行為となる

といったものがある。そのため、ノー・マジの人々は魔法を知る機会はまず存在しないはずだが、メアリー・ルー・ベアボーンは確信をもって魔法の存在を訴えている。彼女はどうやって魔法の存在を知ったのだろうか。そしてMACUSAは、例えば忘却術あるいは錯乱の魔法を彼女一人にかければ済む話なのに、なぜ彼女の活動に介入しないのだろうか。

考察

Pottermoreの記事「ラパポート法」によると、彼女の家であるベアボーン家はスカウラーの子孫であると記されている。

ある日、近所にピクニックに出かけたドーカス・トゥエルブツリーズは、ハンサムなノーマジの青年であるバーソロミュー・ベアボーンに出会い、すっかり惚れ込んでしまいました。ドーカスには知るよしもありませんでしたが、バーソロミューはスカウラーの子孫でした。バーソロミューの家族には魔法が使える者はいませんでしたが、彼は魔法が実在することを疑わず、魔法使いと魔女はすべて邪悪な存在であると思い込んでいました。

Pottermore – Rappaport’s Law

つまり彼女の祖先は魔法族であったのである。Pottermoreの別の記事「北アメリカの魔法界の歴史」から引用すると、

スカウラーの中でも最も悪名高い者たちのうち何人かは (…) ノーマジの社会に紛れて姿をくらましてしまったのです。彼らの一部がノーマジと結婚してもうけた家庭では、スカウラーの存在に気づかれる原因となりかねない魔力を持った子どもは間引かれ、ノーマジの子どもだけが育てられたと考えられています。彼らの目的は魔法界から追放されたことへの復讐でした。彼らは自分の子に魔法が実在することを教え、魔法使いや魔女は見つけ次第殺さなければならない存在であると信じ込ませたのでした。

アメリカの魔法歴史学者のテオフィロス・アボットは、そうした来歴を持つ家系を複数発見して調査をおこなっています。いずれの家系の者も、魔法の実在を強く信じ、また魔法に対する深い憎しみを持っていたといいます。

Pottermore – History of Magic in North America

とされている。

このことから、メアリー・ルー・ベアボーンは、同胞を逆恨みしていた魔法族の先祖から魔法の存在 (もしかしたらその他の事柄) に関する知識を代々受け継いでおり、それに従って魔法族を狩り出すことを目的として活動していたと考えられる。

また、国際魔法機密保持法やMACUSAの法は、魔法族が秘密を非魔法族に暴露することを固く禁じ監視するものであるが、非魔法族が行う魔法の暴露につながる恐れのある行為に対して予防的あるいは積極的に介入する性質を帯びていないことを示している。

終わりに

映画「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」単体では、このことは説明されないまま事態が解決されてしまった。ただ、このファンタスティック・ビースト・シリーズは全5部作の予定であるため、導入に当たる第一部では、これらの背景は意図的に省略され、これからの作品で説明される予定なのかもしれない。